ディープダイブ: 地雷の記憶
(ver.2)
2046年、人間の生活はAIと深く絡み合い、情報の全てがクラウド上で一体化されていた。この世界に生きる亮は、伸一という親友がいた。彼らは子供の頃から一緒に過ごし、亮は伸一を「自分が最も理解している人間」と言っても過言ではないほどよく知っていた。
しかし、伸一には亮さえ理解できない部分があった。それはAIへの強い不信感だ。社会の多くがAIと一体化し、それが生活の一部となっている中、伸一だけは一歩を引いてその流れを見守っていた。
亮と伸一の関係はそれでも独特だった。AIを避ける伸一にとって、亮は稀有な存在だった。なぜなら、二人は共に成長してきたため、語彙や会話のパターンがほぼ一致していたからだ。亮がいるからこそ、伸一はコミュニケーションを続けることができた。
しかし、伸一と社会との間にはどんどん深まる溝が生じていた。AIが提供する言葉の意味補完を受け取らない伸一は、人々の話す言葉がますます理解できなくなり、亮以外の人々とのコミュニケーションは次第に困難になっていった。社交的なイベントは一つの戦場と化していた。
例えば、一度彼が職場のパーティーに出席した際、古典的名著についての議論で会場が盛り上がった。誰もがそれを読んだことがあるかのように語り、自分の解釈をぶつけ合う。しかし伸一は話にはついていけなかった、読んだことがなかったからだ。意見を求められて口ごもった自分を、相手は言葉を話せない愚かな動物でも見るような目で見てきたように感じた。
実際は話題の口火を切った人が最近その本を読んだだけだ。残りは全員、AIからの理解支援を受けてその本の内容を知り、自分の考えに関連する部分を引用し、読んだことのない本をまるで読んだかのように語っていた。AIが「読む」の概念を変えたのだ。その結果、AIを用いた会話についていけない伸一は場違いな感じを味わい、悔しさと自己嫌悪に打ちのめされてしまった。
伸一の人間関係は次第に悪化し、仕事にも影響を及ぼし始める。伸一がAIを避けることで生じた彼の日常生活の支障は、亮にとっても無視できない事態になっていた。
それを見かねた亮は、伸一に精神科医、アマラ先生を紹介することを決めた。そして、それが伸一の人生を大きく変えるきっかけとなるのだった。
♢ ♢ ♢
アマラ先生は落ち着き払った声で伸一に話しかける。「伸一さん、あなたはAIを避けることで過去の恐怖から逃れていますね。でも、それが現在のあなたに苦しみをもたらしています。」
伸一は無言でうなずいた。彼の顔には、何かを受け入れようとする困難さと、それでも前へ進もうとする決意が混ざり合っていた。
「私たちは、AIを利用してあなたの過去を掘り起こし、その苦痛と向き合う新しい治療法を提案します。過去のあなたが経験した苦痛に直面することで、あなたは自身の成長と理解を深め、新しい人生の道を見つけることができるでしょう。」
伸一は深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。「わかった、試してみることにする。」
♢ ♢ ♢
数週間後、伸一と亮は公園のベンチに座っていた。亮は伸一を観察していた。彼の目には以前よりも明るさが見えた。
「それで、どうだったんだ?アマラ先生との治療は」と亮が訊ねた。
伸一は深呼吸をしてから答えた。「驚くべき体験だったよ。AIは僕の過去を深掘りして、幼い頃の恥ずかしい思い出を見つけ出したんだ。」
「ほんとうに?」亮は驚いた。
「うん、あの夏祭りの時、僕が女の子に告白してふられた話、覚えてる?」伸一が微笑んだ。
亮は懐かしそうに笑った。「ああ、それは覚えてるよ。それから数週間、君は家から出てこなかったもんね。」
「そう、それだ。僕は忘れていた。しかし、あの時の恥ずかしさと挫折感は、僕が今でも人間関係に臆病になる原因だったんだって。」
「でも、それを乗り越えたんだね?」亮は微笑んだ。
「うん、AIと向き合うことで、その苦痛とも向き合えた。それが自分を理解し、成長するための大切な一歩だったんだ。」伸一は深く頷いた。
亮は驚きと喜びで満たされた。「それは素晴らしいよ、伸一。君がその一歩を踏み出せたこと、本当に嬉しいよ。」
それから数ヶ月後、伸一の態度は明らかに変わった。彼は人々とのコミュニケーションに臆病さを見せなくなり、日常生活もスムーズに運んでいた。彼がAIとの共生を選んだことで、新たな自己理解と成長が実現し、彼の人生は明るい方向へと向かっていた。
亮は友人の成長を見守り、心から喜んだ。「AIと一体化することで、過去の苦痛と向き合い、それを乗り越えることができる。それが新しい自己受容への道だね。」
これが未来。人々は、AIと共生し、自分自身を深く理解し、過去の痛みを乗り越えて未来へと進む。そして、新しい時代の「過去を掘り起こされる恐怖」を超え、AIと一体化する新たな人生を歩むのだ。
-----
感想
自分がストーリーをコントロールすると自分の感想がなくなるnishio.icon
前回までは「AIが生成してきたストーリー」を僕が読んで感想を書いていた
今回、感想と言われても「いや、こうですが、何か?」みたいな気持ちになる
これが小説を書くということなのかなぁ、だとするとこれが人生で初めて書いた小説ということになるな
LLMは創作を支援する、間違いない
例えば登場人物の名前はほんとどうでもいいと思ってて、自分で書こうとすると名前を自分で決めないといけないのが「どうでもいいことに時間を使わされている」という感じがあって嫌だった
今回はプロンプトのやり取りを見るとわかるやうに「名前がまず出てくる」「日本人の名前にしようと指示」「日本人の名前になる」という感じだった
つまりどれくらいの詳細度でコントロールしたいと思うかの話
日本人の名前にはしたかった
先生は日本名にならなかったが、別にいいと思った
パーティでの不適応の記述は人力で3倍くらいにした
技術的側面の解説をもっとしたくなるが、それだと小説ではなくなっちゃうかなと思う
技術的には
今、知らない単語をGoogle検索したりChatGPTに聞いたりしている
リアルタイム音声認識はそう遠くないので会話で聞いたものはLLMに対する入力になる
この技術をみんなが使う環境では、使わない人が知能の足りない人に見える
教育の形はきっと変わってるだろうが、今の延長線なら高校までは学ぶことがさほど乖離してないので問題が明確化せず、大学で一気に分野の多様性が出て「専門外の分野のことがわからない」になる
編集と作家みたいな会話だ(しらんけど)inajob.icon
-----
ver.1
年は2046年。人間の生活はAIと深く絡み合っていた。全ての情報がクラウド上で一体化され、人々の生活はネットワークとAIによって助けられ、サポートされていた。
しかしながら、全ての人々がAIとの一体化を歓迎しているわけではなかった。一部の人々は、AIが持つ「全知全能」に恐怖を感じていた。過去の行為、思考、感情が詳細に記録され、それによって現在と未来が評価される事実を、彼らは「過去を掘り起こされる恐怖」と呼んでいた。
主人公のサイモンはそんな一人だった。彼は自己情報のインプットを極力避ける生活を送っていたが、それが原因で日常生活に支障をきたし始める。周囲とのコミュニケーションがうまくいかない、エンターテイメントから疎外される、さらには仕事上の評価まで下がっていく。AIと一体化していないと、生活そのものが成り立たない世界で、サイモンは孤独を感じていた。
彼は精神科医、ドクター・アマラに治療を依頼する。アマラは新しい治療法として、AIを用いた「過去の地雷掘り起こし」を提案する。その地雷とは、サイモン自身が過去に経験した苦痛を指す。
「AIの全知全能を恐れるのではなく、それを利用して自身の過去を見つめ直す。それが新しい自己受容への第一歩だ」とアマラは説明する。
治療は進み、サイモンの過去の行動や思考、感情がAIによって浮き彫りになっていく。その過程で、サイモンは過去の自分について深く理解し、それぞれの行動がどのように今の自分を形成してきたのかを学ぶ。
次第に彼は、自身の過去を恐れることから解放され、AIとの共生によって新しい人生を歩むことを選ぶ。サイモンの人生は、自分自身とAIとの関係性を見つめ直し、より良い未来を作るための教訓となる。
これが未来。人々は、自分自身をより深く理解し、過去を受け入れて未来を切り開く。そして「過去を掘り起こされる恐怖」を超え、AIと一体化して生きる新しい道を探す。
-----
感想
積極的に地雷を掘り起こして受容する治療が行われるようになった!nishio.icon
僕の想定よりも激しいw
あらすじみたいになってるけどどうしたらもっと小説になるのか?
このセリフを活用して場面描写する?
人が石につまずいて転んで痛みを感じた場合、石を取り除いてより良い道にするべきであって、「石が悪い!」ということは解決にならない。AIの振る舞いが人の心に痛みを与えることも同じで「AIが悪い!」と言っても解決にならない。
niryuu.iconAI小説:「ファントム」の視点からすると、本当に「最善」を目指すならトラウマに対する治療が必要なのですよね。それに向き合えない人間側の問題が、「ファントム」を引き起こしているともいえます。現在は「複雑性PTSD」という概念で捉えられつつありますが、未だ普及には遠い段階です。 ネクストアクション、この二つのストーリーをセットにして、医師の協力者を募る感じかなnishio.icon
制作
code:prompt
人々がもっと自分をさらけ出すようになった未来、「過去を掘り起こされる恐怖」を強く感じるあまりAIに対して情報をインプットせず、それによって生活に支障が出ている人が精神科で治療を受ける近未来SFストーリーを作ってください
下記は参考意見です
###
未来のAIが地雷を踏む確率は人間より低い。なぜなら人間は「自分が観測した地雷事例」からしか地雷予想ができないが、AIは今後集まる地雷事例のデータをすべて学習して避けるからである。
「自分自身の過去を掘り起こされる経験は恐ろしい」と感じる人は、暗黙に過去が「埋まっている」と仮定している。
人が石につまずいて転んで痛みを感じた場合、石を取り除いてより良い道にするべきであって、「石が悪い!」ということは解決にならない。AIの振る舞いが人の心に痛みを与えることも同じで「AIが悪い!」と言っても解決にならない。
未来には、人々はもっと自分をさらけ出すようになり、今よりも「過去を掘り起こされる恐怖」を感じなくなるだろう